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発表会2020終了

異様な厳戒態勢のなか、発表会はいつも通りの緊張とハレ感を個々に味わいながら終えられました。ご来場を控えられたおじいちゃん、おばあちゃん、お友達に聴いていただけるよう、ビデオを編集中です。

 

出演者も出演と集合写真を必須とし、毎年行っているお互いの演奏を聞き合ってレポートするのは避けました。

 

今年は今年で、「家族で音楽に取り組む、楽しむ」ということにフォーカスできたかと思いますが、こういう形態は今年限りになりますように。

終演後、例年、たくさんの親御さんから感謝と感動の声を(直接、あるいは今はメールが主流で)いただきます。しかし「子どもの成長に感動した」というお声、それは親御さん、ご家族の大いなる成果です。

 

啐啄同時(そったくどうじ)という言葉をご存知でしょうか?鳥のヒナが生まれよう、と卵の中で鳴く時、同じ場所、同じ時に親が外からも突き助け、殻を割ることができる、という禅宗の用語です。

親御さんは日々の練習で「イライラしてしまいます」「練習ができているのか不安です」と悩みをいただきますが、その悩んでいらっしゃること自体が「啄:親が外から殻を突く」ことになっています。「啐」ヒナは必死に鳴いたり、鳴かなかったり、暴れたり、色々。でも親御さんのお叱りや心配はヒナに必ず届いており、立派に生まれ出てくれているのを毎回発表会で感じています。私ができるのはヒナに鳴き方を、親御さんに安心を与えるだけで、あとの成果は親子の成果です。

 

 

今年はせいぜい2,3週間で済むだろうと思っていた自粛期間が1ヶ月。レッスンもオンラインに切り替えたり、休会された方も多いです。何よりご家族にご高齢の方がおられたり、親御さんがどうしても仕事で東京、海外に関わりのある方のご不安も多く、子どもたちも知らず知らずストレスを抱えていることは明らかでした。

 

元々、「いつピアノレッスンをやめてもいい状態(自分で譜読みでき、練習できる能力)にする」のが私の目標ですが、まさかこのように急激にその時が来るとは思いもよらず。でも発表会が既に決まっていたので、みんななんとかモチベーションも保てたようです。価値観を刷新することができ、グランドピアノ購入にもつながりました。

 

悪いと思えることも、良いものをうむきっかけにできるかどうか。そこが人間力になると思います。この時代を経験できたことが、みなさんの大きな糧にできるよう(忘れてしまわぬよう!)、もう一息がんばりましょう。